上尾市長選立候補予定者への質問書

私たち市内の環境団体は次の質問書を立候補予定の方々に
提出しました。
皆さん 読んでください。少し長いのですが。



                                  平成20年1月13日
上尾市長選 
立候補予定者各位

上尾市における自然環境の保全・再生に関する
政策についての公開質問書


NPO法人 荒川の自然を守る会            NPO法人エンハンスネイチャー荒川・江川  
上尾市環境保全団体連絡会              エコロジカルネットワーク上尾
原市沼を愛する会                  江川の自然と河川改修を考える会
鴨川を愛する会                   荒沢沼を守る会
上尾の自然を守る教職員の会             荒川流域猛禽類保護ネット
上尾の自然を守る会                 希少野生動植物を守る会
荒川流域の自然を守る会               サクラソウボランティアの会
ローダイ 上尾                   サクラソウトラストネットワーク
あげお地球村                    フィールドワーク
藤波・中分の自然を守る会
湿地の植物を大切にする会              
上尾・桶川のオオタカを守る市民の会 
上尾・桶川の古墳と自然を守る会
                                                                            

上尾市長選立候補予定者の皆様におかれましては、緑豊かな住みよいまちづくりに向けた意欲のもと立候補を予定しておられることに敬意を表します。
 上尾市においては平成9年に環境基本条例が制定され、それを踏まえた環境基本計画が平成10年に策定されて、環境に関する施策が総合的に推進されています。上尾市の環境基本条例と環境基本計画は市民参加で作成されたことから、市の内外から高い評価を得ています。しかしながら、現状を見ると環境基本計画に示された「2007年の緑地目標30%」に対し、緑地率は大きく低下しているのをはじめ、平成19年に市の環境政策課から報告された環境基本計画の実施状況点検では、市役所内各課の達成状況が平均33.9点であることが明らかになり、上尾市の各種施策の中でも環境対策が最も遅れていることが明白です。
 私たちは上尾市の大切な財産である自然環境を将来世代に引き継ぐために、多くの市民の参加によって、河川の環境保全から雑木林や湿地の保全管理・環境学習等のさまざまな活動に、長年にわたって取り組んでいる市民団体です。「よい環境の中で住み続けたい」「よい環境の中でこそ成り立っている営業を守り続けたい」などの多くの市民の願いを実現したいと活動を続けてきました。上尾市の位置する大宮台地上の雑木林や台地周辺の谷戸の湿地には、地球温暖化を防止するために失ってはならない貴重な自然が今なお残されています。「環境の世紀」は危機的な環境問題が山積しており、二酸化炭素の削減や生物多様性の維持は持続可能なまちづくりを進めていく上で、不可欠で最重要の政策課題になっています。行政のトップリーダーとしての市長の役割と責任は、きわめて大きいと私たちは認識しています。
 そこで、上尾市の持続可能なまちづくりにとって重大問題である自然環境の保全・再生に関する政策について公開質問書を上尾市長選立候補予定者の皆様に提出させていただき、私たち会員をはじめ広く市民の投票の参考にさせていただきたいと考えました。
 選挙準備でお忙しい中たいへん恐縮ですが、以下の質問にお答えいただきたく、よろしくお願いいたします。

            記
1 江川下流域の湿地保全について
   江川下流域周辺は「荒川流域の遺伝子の銀行」とも言われるほど貴重な自然や希少な動植物が  残されています。20年ほど前から市民団体がサクラソウトラストをおこない保全活動をしてきた  ことは、広く全県的に知られています。流域の市・県・国と市民団体等による「江川流域づくり  推進協議会(平成17年3月解散)」が江川沿いの湿地の保護・保全について協議し、現在この協議  会の提言を受けて後続組織の設立準備が進められているところです。しかしながら、これまで協  議会の提案は無視され、上尾市側の湿地埋め立てがこの2年の間にも次々と進行しており、行政の  指導力が大きく問われています。具体的には、河川改修・農地整備・道路建設・自然保護の各担  当課を総合調整し、協議会提言等で示された土地利用の方向性を具体化していく市長のリーダー  シップが問われています。
   市内はもとより全国的にも重要性が明らかになっている江川下流域の湿地保全と再生の実現を  図ることを市長候補として公約していただけるか否か、明解にお答えください。

2 丸山公園の自然保全・再生について
   丸山公園は自然豊かな公園として多くの市民や市外の人々から愛されています。しかしながら  西側に拡張された部分は、ポピー畑やバーベキュー場になり、また駐車場や「多目的広場」にな  って、貴重な緑地・自然が失われてしまいました。そして昨年からの丸山都市下水路の改修工事  は貴重な生物の調査も十分せずに強行されました。ここには埼玉県が条例で指定した「県内希少  動植物」であるイモリの生息が確認されていますが、十分な保護対策も講じないまま湿地の埋め  立て工事が行われています。拡張部分は小泉地区の区画整理が行われる際に、そのミティゲーシ  ョンとして、タヌキの生息できる自然にすることで、上尾市と市民・市民団体が1990年に合  意しています。また2000年に八塚樋管工事に当たって上尾市・国・市民団体・専門家による  4者協議をし、丸山公園拡張部の自然保全の覚え書きを交わしています。
   丸山公園の自然保護は、民地と異なり上尾市の公園であるだけに市の考え方ひとつで「自然豊  かな丸山公園」にすることは十分可能です。温暖化防止対策や遺伝子の多様性維持のためにも丸  山公園の自然を保護することが必要だと思います。
   市内の自然環境の減少が著しいなか、丸山公園を「上尾市の代表的な自然環境の保全と再生を  進める公園」として特徴づけることがふさわしいと思いますが、市長候補者としてどうお考えで  すか。 

3 通称「大正製薬の森」および市内の雑木林の保護・再生について
   平地の雑木林や台地の周辺の谷戸・湿地は開発でどんどん失われており、残りわずかになって  しまいました。通称「大正製薬の森」は1990年の上尾市による自然環境調査報告書でも、そ  の自然の豊かさと希少性が強調されています。当地は大正製薬という企業が守ってきたともいえ  る自然ですが、公開されていなかったことにより、貴重な自然が守られてきました。ところが、  私有財産ということで何ら対策が取られないまま、現在上尾道路の建設と区画整理事業による伐  採が進んでいます。
   昨年 私たち市民団体は多くの市民や企業・大学の協力を得て、大正製薬の森の希少植物等の  移植に取り組みました。貴重な表土を市有地の公園に運び、多くの絶滅危惧種を学校・私有地・  市有地に移植しました。残念ながら移植はやむをえない方法で、自然保護のためには良い方法で  はありません。長い年月が作り出した自然は、壊すのは一瞬ですが再生するにはおなじような長  い年月が必要です。大正製薬の森は現在、周辺部の雑木林がかろうじて残されています。ここに  は今なお数種の絶滅危惧種の植物が数多く生育しています。今こそ公的な対策が早急に必要で   す。貴重な表土そのものが永久に失われつつあります。一度失われた遺伝子は再生することはで  きません。
   大正製薬の森保護のためには関係する企業の協力を仰ぐことが重要と考えます。今からでも貴  重な雑木林の保護に取り組むお考えはありますか。具体的には区画整理事業と上尾道路の開発計  画との調整が求められます。
   区画整理事業の実施者および道路事業者である国交省大宮国道事務所との協議において、上尾  市の大切な自然環境のひとつであるとの立場から、積極的に調整する意向があるか否かについて  お答えください。また市内の雑木林の保護・再生についてのお考えをお示しください。

4 荒川・鴨川・芝川・原市沼川等の市内の河川を対象とした自然保護について
   改正河川法に記されている通り、河川は治水・利水のみならず環境も重視される時代となって  います。上尾市においては河川を排水路として使用するための対策が多く、自然環境としての施  策が不十分であったと思います。河川は地域の自然環境を形成する動脈でもあるとともに、市民  に潤いややすらぎを与えるまちづくりの要となります。
   今後こうした観点から、国や県との協議も含め「上尾市河川環境保全・再生プラン」を市民参  加で作成すべきだと思います。このプラン作成も含め、水環境の改善と河川周辺の自然環境に対  する考えをお示しください。

5 三つ又沼ビオトープ・太郎右衛門自然再生事業への上尾市の積極的な参加について
   上記事業は上尾市内の自然保護団体が提案し、国交省荒川上流河川事務所が推進しているプロ  ジェクトです。国のプロジェクトとはいえ上尾市が積極的に参加することで、より一層全国的に  誇れる取り組みになることは間違いありません。特に、自然再生推進法に基づいて設置された   「荒川太郎右衛門自然再生協議会」は国のみならず地元自治体が自然再生の事業主体となって参  加することが望まれております。上尾市としても、市域の荒川河川敷や隣接する江川下流域を対  象とした自然生成事業の実施者として加わることが、上尾市が環境先進自治体であることをアピ  ールする最善の方法です。
   市長として、荒川自然再生プロジェクトの実施者として加わる意向があるか否かをお尋ねしま  す。

6 自然環境の保全・再生対策に取り組むための財源確保について
   首都圏に位置する上尾市にあっては、民地の良好な自然環境を地権者の善意に頼って開発を抑  止し、自然保護を進めるには限界があります。また、これからは「自然再生推進法」が施行され  たことが示すように、保全のみならず自然環境の再生や改善にも計画的に取り組んでいく必要が  あります。これを積極的に推進するためには、財源確保が重要であることはいうまでもありませ  ん。
   上尾市は平成2年に市税の概ね1%を「緑の基金」をして確保し、良好な自然環境の公有地化財  源とする仕組みを作り、先進的事例として全国的に注目されました。この財源をもとに、
  中分や原市地区の森が公有地化されました。しかしながら、近年においては自然保護のために利  用されている形跡がありません。
   そこで改めてお伺いします。上尾市の持続的発展を支える上で欠かせない自然環境の保全・再  生のための財源として、市民税(個人・法人)の1%を毎年充当する制度をきちんと確立していた  だけるか否かを明解にお答えください。



*回答は、お手数ですが1月20日までに、FAXまたは郵送で下記までご返送のほどお願いします。
 回答用紙を添えます。不足するようでしたら別紙にご記入のうえ添付してください。