大正製薬の森消失 上尾市の対応 企業の対応


 今週 埼玉県でも有数の遺伝子資源を持ったこの森は終焉を迎えようとしています。
この森は上尾市が1991年に行った調査の際、大宮台地の最上部(分水域)に当たりながら、湿地性の植物が確認されました。また、北方性の植物や、いまや山間地でないと見られないような植物も確認されました。そこには多くの絶滅危惧種が含まれていました。
そして、わたしたちはかねてから上尾市や埼玉県にこの貴重な自然の保護を要望してきました。あげお道路の工事がここに延びてきたときには大宮国道事務所にアセスメントを実施し保護を行うよう要望してきました。
上尾市が 既存緑地の保全の指導をするとかねてからわれわれに話しいたので、上尾市の担当部署を訪問しました。統括している課に行くと「企業に自然保全のお願いをしました。森の巨木が5本残っているでしょう。」「え・・・。」われわれがお願いしていたのは既存樹林の保護。全ての保護をお願いしていたのではないのです。たとえ少しでも貴重な部分を残すようお願いしていただきたかったのです。上尾市の開発に伴う緑地保全に関する条例に基づいた30パーセントの保護です。上尾市はそれに基づいて企業施設の周辺に5mないし10mの保全をするよう指導すると話していたのです。
 巨木5本にいつのまにか変わっていました。(これも無いより残ったほうがよいのですが)
 表土や植物の移植について地権者の理解を得られ、上尾市には土地の提供をしていただきました。たいへんありがたいのです。しかし、『自然保護の基本』は生物の生息する土地を保全することです。移植では自然保護にはなりません。このことは繰り返して当局には話してきたつもりです。
 どれほど貴重な自然かご理解できなかったようです。この森の自然は市民の自然財産となるものです。
 開発会社のセブン&アイ.ホールディングスからはわれわれの要望書に対して、いまだに回答をいただくことはできません。日本有数の企業がこれほどの自然破壊を伴う乱開発をしてよいものでしょうか。同じような会社のイオングループは自然保護を積極的にしています。なぜこれほどの違いがあるのでしょう。
 あげお道路への移植のため、後 数日は少し残っている自然があります。ここもまもなく伐採してしまうということです。上尾市も企業も将来世代の自然をいとも簡単になくして平気なのでしょうか。
 12月6日周辺に薄皮のように残っていた既存林も伐採されてしまいました。
 開発業者も県も市も国もこの森が貴重な森であることや、たとえ狭まったとはいえ保存を図る意義が理解できないのでしょうか。
 今日までの約20年の間に、この森一帯の区画整理事業の県の許可がおり、森は商業施設として開発が進められてきました。「商業施設」の周辺の既存林保全ついて、県は「お願い、指導することはできる」、上尾市は「指導する」と私たちからの自然保全を求める要望に答えてきました。
この度の突然の事態は、市民の保全の要望に全く背を向く事態です。わたしたちは驚き、地権者に連絡をするとともに上尾市を訪問しました。それでわかったのが上尾市の巨木5本の自然保護なのです。
このような事態が各地で進んでいます。
多くの皆様に知っていただきたいと願っています。